「ランドスケープ」−間口の狭いファサード−


 ここ十数年、私たちの設計した住宅の半数近くが、間口が狭く、奥行きのある、いわば「うなぎの寝床」的な敷地でした。地主の分割販売や業者のミニ開発が勢いを増す中、今後もこの傾向が続くと思われます。その結果、今まであった樹木が伐採され、殺伐とした街並みとなっているように感じています。「街並みに潤いを与える構成はどのようなものか」を考えることも大切ではないかと考えています。
 そこで今回、開口が狭い敷地に建った住宅の道路廻りの空間をランドスケープを含めどう考えたか、アクソメ図とファサード写真で取り上げました。








緑香る気持ち良さ


 自由ヶ丘Kさんの家



 週末にはアフタヌーンティー「フレッシュクリーム」となるKさんの家のアプローチは、高低差1.5mのところに3ヶ所の踊り場をとり、可能な限り緑を植えられるようにプラントボックスをとっています。手入れよく豊かな緑に魅せられ、実際の長さより長く感じられるアプローチ空間です。








プロムナードに
誘われる



   大磯Nさんの家




 道路から14mと長いアプローチの先にはNさんの趣味の陶芸作品を展示するギャラリー。そこでアプローチは樹木や季節を彩る草花のほかに、ベンチや陶芸作品を置けるようにし、ギャラリーと一体化した構成にしています。道から引き込まれるような楽しく気持ちよいアプローチです。

















  おしゃれなフォルム


    烏山Fさんの家






 玄関ポーチが直接道路に接し、一般的にいうアプローチはありません。しかし、ポーチ床の御影石のボーダーを敷地間口方向にラウンドさせ、車庫側からの長さを感じさせること、次に玄関庇兼用バルコニーを設けポーチと室内の関係を出すこと。これらのことによって、ポーチがアプローチの役割も果たしています。



















シンボルツリーに見とれる


 瑞江Mさんの家






 建物は道路から車寄せを2mとったところからはじまり、外壁の一部のスティール格子戸の奥が玄関ポーチとなっています。実際のアプローチはその車寄せ2mですが、ポーチを内部と外部が貫入し合った空間、インナーポーチにするこにより、距離や広さを感覚的に増す構成となっています。








色とりどりのクレマチス


       昭島Aさんの家


 通り庭の中央に玄関があります。この通り庭は道路から見ると先端が細い台形で、さらに近景、遠景の樹木を配することによって、パースを効かせた構成で、玄関ドアが閉まっていても奥行きが感じられます。

 通り庭の中央に玄関があります。この通り庭は道路から見ると先端が細い台形で、さらに近景、








  



















白い階段を登ってみたい 


        山王Nさんの家  








 アプローチは直線、そして14段の階段。階段の両側にグリーンを十分用意し、アイボリーの階段がグリーンの上に乗っているように見せています。少々煩雑な付近の家並みや前面道路の狭さに対し、スッキリと明快な構成は効果的で、実際このアプローチ前に立つと爽快で開放感を覚えます。

























引き込まれる照明の美しさ


        大山町Hさんの家






 都心にありながら緑豊かな住宅街にあるHさんの家の外壁は、明るいシャモットレンガ割肌仕上げ。アプローチはこの外壁のテクスチャーを生かし、床材は質感の高いテラコッタタイル貼り。植栽は隣地側一方向とし外壁側は素焼植木鉢をリズミカルに配置してあります。夜になると植え込みの緑を通しての照明と玄関のガラスコーナーから漏れる明りが割肌の壁に良く映え、昼とは違った風景をのぞかせます。